レストレーションとは?ハウスクリーニング・特殊清掃との違いと選び方
遺品整理や特殊清掃の見積書に「レストレーション」と書かれていて、これが何の作業なのか分からない。広島で施工をしていると、こうしたご質問をよくいただきます。
レストレーションは日本語では「原状回復清掃」と訳されることが多い言葉です。ただ、この訳語だけでは、ハウスクリーニングと何が違うのか、特殊清掃とどう使い分けるのかまでは伝わりません。この言葉の使い方は業者によって幅があります。ここでは、あぐりが実際の現場でどう使い分けているかを軸に、3 つの違いと、どれを頼むべきかの目安を整理します。
あぐりのレストレーションは、汚れを落とす清掃ではなく部屋を「戻す」清掃
あぐりが行うレストレーションでは、傷んだ室内を再び使える状態に戻すことを目的にしています。遺品整理・空き家整理・ゴミ屋敷清掃のあとに提供することが多いサービスです。あぐりのハウスクリーニングとの一番の違いは、汚れの性質に合わせた化学薬品を使うことを前提にしている点です。
長く人が住んでいなかった家や、定期的な清掃が何十年も入っていない家では、汚れの性質そのものが変わります。浴室のカビ、鏡のウロコ(水垢)、トイレの尿石、家具の裏に堆積した埃。これらは拭き取りや一般的な洗剤でも落とせないわけではありませんが、時間がかかりすぎて労務費のほうが高くつくことがあります。あぐりのレストレーションでは、汚れの性質に合わせた薬剤を選んで反応させることで、この時間を短縮しています。
裏を返すと、薬剤の知識がないまま使えば、床材や建具を傷めてしまう作業でもあります。効果が大きいぶん、扱いを間違えたときの損害も大きくなります。
ハウスクリーニング・レストレーション・特殊清掃は「目的」が違う
3 つはどれも「部屋をきれいにする」作業に見えますが、目指しているものが違います。ここを取り違えると、必要のない作業を頼んでしまったり、逆に必要な処置が抜けたりします。
ハウスクリーニング|目的は美観の回復
賃貸の入退去時や年末の大掃除のように、比較的短い周期で入る清掃です。目的は見た目を整えること。あぐりも創業時はハウスクリーニング業から始めており、遺品整理・空き家整理のあとの清掃は当時から自社で行ってきました。
レストレーション|あぐりでは原状回復と衛生環境の再生を目的にしています
売却前の空き家、賃貸の退去、ゴミ屋敷を片付けたあとなど、その部屋を「次の人に渡すことが決まっている」現場で効果が出ます。見た目を整えるだけでなく、カビなどを減らして衛生状態を戻すところまでを目的にしています。
特殊清掃|目的は臭気源の除去と除菌・消臭
孤独死や事故の現場、動物の多頭飼育崩壊など、臭気の発生源がある現場の作業です。ここでの目標は見た目ではなく、臭気源そのものを取り除いて臭いを止めることになります。
そして特殊清掃には、ほかの 2 つとは違う進め方があります。臭気を除去したあと、臭い戻りが起きていないかを確かめる経過観察の期間が必要になる場合があるということです。戻りが出た箇所には、ピンポイントで修正施工を入れます。現場の状態によっては、作業日の当日で完了とはならないことがあります。
| ハウスクリーニング | レストレーション(あぐりの場合) | 特殊清掃 | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 美観の回復 | 原状回復と衛生環境の再生 | 臭気源の除去と除菌・消臭 |
| 典型的な場面 | 賃貸の入退去、定期清掃 | 売却前の空き家、退去前のゴミ屋敷、遺品整理後 | 孤独死・事故現場、多頭飼育崩壊 |
| 薬剤・機材 | 洗剤が中心 | 汚れの性質に合わせた化学薬品 | 化学薬品に加え、オゾン燻蒸機などの機材 |
| 作業の終わり方 | 仕上がりを確認して完了 | 仕上がりを確認して完了 | 状態によっては経過観察を経て、臭い戻りがないことを確認して完了 |
3 つに共通するのは「どこまでやるか」が分かりにくいこと
この 3 業態に共通しているのは、仕上がり水準や作業範囲について、業界全体で統一された分かりやすい基準が確立されているとは言いにくいという点です。同じ「清掃」という言葉でも、業者によって想定している範囲が違うことがあります。そのため、依頼する側が金額だけを見比べても、何が含まれているのかを判断しづらくなります。
あぐりにも「他社に依頼したが臭いが取れていない」というご相談が届きます。前の業者の施工から半年以上が経ってから、あらためて施工をお引き受けした現場もありました。
ですから、見積書の段階で「どこまでを、どの方法で行うのか」が文章になっているかを確認してください。金額の安さよりも、作業範囲が言葉として書かれているかどうかのほうが、あとで揉めにくくなります。
請求内容に納得できない場合は、まず請求書を発行してもらうこと。それでも解決しないときは、お住まいの自治体の消費生活センターに相談するという方法があります。訪問を受けて契約した場合には、クーリング・オフなどの制度が使えることがありますが、適用されるかどうかは契約の形態によって変わります。判断は消費生活センターや専門家にご確認ください。
見積りで何を確認すればよいかは、遺品整理や特殊清掃の見積りの内容は、時間はどのくらい?でも詳しく書いています。
解体するなら不要、渡すなら効果がある。あぐりの判断基準
レストレーションは、どの現場にも必要な作業ではありません。あぐりでは次のように考えています。
まず決めるのは「この部屋をこのあとどうするか」
あぐりが現地で最初に確認するのは、汚れの状態ではなく、この部屋がこのあとどうなるかです。行き先が決まらないと、どこまで戻すべきかも決まりません。
- 解体や大規模な修繕が決まっているか。決まっているなら、そこでレストレーションの検討は終わります
- 決まっていないなら、売却するのか、賃貸を退去するのか、これからも使うのか。渡す相手がいるほど、戻す価値が出ます
- においが残っているか。残っているなら先に臭気源を取り除きます。においを抱えたまま見た目だけ整えても、あとで戻ります
- 汚れの種類はどれか。カビ、尿石、鏡のウロコ、油汚れのように「落とせないわけではないが時間がかかりすぎる」汚れであれば、薬剤を使う意味があります
迷うのは 2 番目、売るか使い続けるかがまだ決まっていない場合です。それなら、決まってからで遅くありません。
お勧めしない場合
家屋の解体や大規模な修繕がすでに決まっている場合、室内を戻す作業は費用に見合いません。この場合は遺品整理・空き家整理までで区切ることをご提案しています。
効果が出やすい場合
- 空き家を売却する予定がある
- 賃貸物件を退去する(原状回復費や敷金の精算がある)
- ゴミ屋敷の片付け後で、設備の交換を求められそうな状態にある
賃貸のゴミ屋敷では、浴室に発生したカビを理由にユニットバスの交換を求められることがあります。設備の交換になると、敷金では足りない金額になることもあります。交換が必要かどうかは、カビの進行度合いや設備そのものの傷み方によって変わるため、まず現地で状態を確認したうえでご説明しています。
また、遺品整理の現場では、故人様にとって最後の引っ越しにあたる作業でもあります。解体が決まっていない限り、部屋を整えて渡したいというご希望は少なくありません。
レストレーションでは対応できないこと
薬剤の効果は大きいのですが、清掃で戻せる範囲には限りがあります。次のような場合は、清掃ではなく撤去や交換の話になります。
- 素材そのものが傷んでいる場合。床材が腐食しているような状態では、表面をいくら洗っても戻りません
- 臭気源が素材の内部まで入り込んでいる場合。染み込んだ部分は取り除くしかありません。撤去する範囲は最小限にとどめます
- 設備や構造の不具合。水漏れや建具の不具合は清掃の範囲外です。作業中に見つけた場合は、その場でお伝えしています
- 素材を傷めるおそれがある場合。同じ汚れでも、素材によっては使えない薬剤があります。効果より先に、傷めないことを優先します
できないことは、見積りの段階でお伝えします。あとから「実はこれは無理でした」となるほうが、ご負担が大きくなるためです。
よくいただくご相談
空き家を売りたいが、どこまで手を入れればいいか分からない
いちばん多いご相談です。全体をきれいにするより、見られる場所を絞ったほうが結果につながります。内見で必ず見られるのは水回りと、においが残りやすい場所、そして玄関まわりや外から見える部分です。逆に、天井裏や使わない部屋に費用をかけても、印象はほとんど変わりません。どこに絞るかは建物の状態によって変わるため、現地を見てご提案しています。
賃貸を退去する。原状回復でどこまで請求されるか不安
汚れが原因なのか、設備そのものが傷んでいるのかで話が変わります。カビや水回りの汚れは、清掃で戻せる範囲が思ったより広いことがあります。一方で設備が傷んでいれば交換です。この切り分けは現地を見ないと判断できません。
遠方に住んでいて、何度も現地に行けない
ご依頼者が県外にお住まいのケースは珍しくありません。下に挙げる 3 件のうち 2 件も、九州と関西の方からのご依頼です。現地の確認と作業はこちらで進め、状況は写真でご報告します。立ち会えない場合の連絡方法も、あらかじめ決めておきます。
実際の現場から
売却を前提とした空き家整理|竹原市・戸建て 5K
九州にお住まいの方からのご依頼でした。建物自体の状態は良好でしたが、地域全体で空き家が増えていることもあり、売却がスムーズに進むかを気にされていました。整理作業と併せて室内外の清掃と簡易修繕を行い、5 名・2 日間で施工しています。施工事例を見る
売却前の分譲マンション|3LDK・カビと臭気
家財が多く通気が悪くなり、壁面に薄くカビが出ていた現場です。整理後にエクストラクターで壁紙を洗浄し、換気を確保したうえで殺カビ剤による除菌とオゾン燻蒸を行いました。5 名・3 日間(消臭とカビ除去を除く)。施工事例を見る
便器のカビだけを処置した生前整理|広島市安芸区・マンション 1LDK
関東へ転勤された娘さんの部屋を、賃貸契約の解約にあわせて整理したご依頼です。室内は整理整頓されており、便器に自然発生したカビだけが残っていました。部屋全体のレストレーションは不要と判断し、カビ除去に絞って対応しています。3 名・1 日。施工事例を見る
3 例目のように、必要な範囲だけに絞ることもレストレーションの判断のうちです。カビへの向き合い方は見えない敵「カビ」とどう向き合うかでも取り上げています。
依頼する前に確認しておきたいこと
どこに頼む場合でも、次の点を確かめておくと、あとで話が食い違いにくくなります。
- どの箇所を、どの方法で行うのか。「室内クリーニング一式」ではなく、箇所と方法まで説明があるか
- 薬剤を使う箇所と、使わない箇所の切り分け。すべてに薬剤を使うわけではありません
- 素材への影響をどう確認しているか。薬剤と機材は、扱いを誤れば建具や床材を傷めます
- どこまでできたら完了とするのか。仕上がりの目安をあらかじめすり合わせておく
- 追加費用が発生する条件。どういう状態が出てきたときに金額が変わるのか
- 立ち会えない場合の報告方法
あぐりでは、作業に入る前に工程を決め、使う機材と薬剤をそこに合わせています。現場で行き当たりばったりに薬剤を試すことはしません。
よくあるご質問
レストレーションとハウスクリーニング、どちらを頼めばいいですか
その部屋をこのあとどうするかで決まります。売却や退去の予定があり、長く清掃が入っていなかった部屋であればレストレーションが向いています。定期的に清掃されてきた部屋の仕上げであれば、ハウスクリーニングで足ります。判断がつかない場合は、現地で室内を見たうえでご提案します。
特殊清掃を頼んだら、レストレーションも必要になりますか
必ず必要になるわけではありません。臭気源の除去が終わったあと、室内をどこまで戻すかは、そのお部屋を売却するのか、退去するのか、解体するのかによって変わります。解体が決まっている場合は不要です。
特殊清掃はどのくらいの期間がかかりますか
臭い戻りの確認期間が必要になる場合があるため、片付けや清掃のように「何日で完了」と一律にはお答えできません。建物の構造や臭気の染み込み方によって変わります。詳しくは特殊清掃にかかる期間はどれくらい?をご覧ください。
費用はどのくらいかかりますか
家財の量、汚れの状態、建物の条件によって変わるため、現地を確認したうえでお見積りをお出ししています。遺品整理の料金の目安はご利用料金に掲載しています。特殊清掃とレストレーションは現場ごとの差が大きいため、一律の目安は掲載していません。お見積りは無料です。
遺品整理や空き家整理と一緒に頼めますか
できます。むしろ家財を出したあとのほうが手を入れやすくなります。あぐりでは遺品整理・生前整理・空き家整理とあわせて行うことが多くあります。
作業には何日くらいかかりますか
建物の広さ、家財の量、汚れの状態で変わります。同じ間取りでも汚れの進み方で日数は変わるため、見積りのときに必要な人数と日数の見込みをお伝えします。
見積りの前に片付けておく必要はありますか
必要ありません。そのままの状態を見せていただいたほうが正確に判断できます。片付けたあとでは、どこにどんな汚れがあったのかが分からなくなることもあります。
対応しているエリアを教えてください
広島市内を拠点に、県内および近県で施工しています。上記の施工事例も、広島市内から竹原市までのものです。対応できるかどうかは、物件の所在地と作業内容をうかがったうえでご案内します。まずはお問い合わせください。
広島で相談先に迷ったら
あぐりは遺品整理・生前整理・空き家整理・特殊清掃を行っています。レストレーションはその中で、部屋を次の人に渡すための選択肢の一つです。
「どこまできれいにすればよいのか」「そもそもレストレーションが必要な状態なのか」という段階からご相談いただけます。ご相談・お見積りは無料です。現地を確認したうえで、必要な作業と、必要でない作業を分けてご提案します。
お電話(0120-911-770)またはお問い合わせフォームからご連絡ください。サービスの詳細は遺品整理・生前整理、特殊清掃のページにも掲載しています。