孤独死の現場で遺品整理を行う際の注意点|安全と健康を守るためのヒント
ご家族や身近な人が孤独死された場合、突然のことで動揺し、精神的に不安定になる方が少なくありません。警察や近隣からの連絡、葬儀の手配、行政手続きなど、やるべきことが山積みのなかで、故人の部屋の清掃や遺品整理に直面するケースは多くあります。
特に、発見が遅れた場合は、想像を超えるような状況になっていることも珍しくありません。弊社では、ご遺族がご自身で作業される場合も、まず現場にどのようなリスクがあるのかを知ったうえで取り組んでいただきたいと考えています。
1.孤独死の現場で考えられるリスク
孤独死の現場は、単に物が散乱しているだけでなく、目に見えないリスクが潜んでいる可能性があります。弊社では、物が多く積み上がった部屋も、カビへの備えが必要な現場としてリスクを見積もっています。
感染症のリスク
故人の体に付着していたウイルスや細菌が、死後も一定期間生存している場合があります。整理作業中に小さな傷から感染するリスクを避けるためにも、使い捨てのゴム手袋やビニール手袋を着用するなどの対策を徹底しましょう。手袋が汚れたらこまめに交換し、そのままの手で他の箇所に触れないようにします。
カビによる健康リスク
故人の部屋がゴミ屋敷状態になっていることも少なくありません。腐敗が進むと湿度が上がり、カビが大量に発生していることがあります。
カビの胞子を吸い込むと、呼吸器系の疾患やアレルギーを引き起こす可能性があるため、必ず防塵マスクを着用して作業を行ってください。弊社の現場では、防塵マスクを着けていても、わずかな露出部分から顔が真っ黒になることがあります。
室内で見られるカビの種類ごとの特徴や、清掃のときに必要な備えは、室内環境のリスクとカビ・微生物対策|健康被害を防ぐためにできることで扱っています。
体液による汚染リスク
腐敗が進んだ場合、体液が漏れ出し、床や建材に染み込んでいることがあります。目に見える部分だけでなく、目に見えない部分にも体液が広がっている可能性があるため、不用意に触ったり、拭き取ろうとしたりすることは避けましょう。
弊社では、一般の方が自己判断で臭気除去を行うと、かえって状態を悪化させることがあると見ています。実際の現場でも、体液が染み込んだ畳や床板にカビが生えているのを目にします。
2.専門業者に依頼する際の注意点
特殊清掃は、通常の清掃とは異なり、専門的な知識と技術が求められる作業です。不適切な施工を行う業者も存在するため、依頼する前に次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 作業内容と工程: 見積もり段階で、どのような手順で消臭・清掃を行うのか、具体的な根拠とともに説明してくれるかを確認します。弊社では、施工前に消臭の仕組みを説明できることと、臭気の状態に応じて複数の除去方法を検討できることを、業者を選ぶ際の確認材料の一つと考えています。
- 契約内容: 「オゾン消臭1回につきいくら」といった、作業の一部のみで料金を提示する業者には注意が必要です。特殊清掃は複数の工程を組み合わせることで効果を発揮します。
- 費用と支払い方法: 安価な費用を提示する業者では、不完全な施工や追加料金が発生することもあります。適正な費用が示され、作業完了後に支払いができるかどうかも判断の材料になります。
実際の消臭作業がどのような工程で進むかは、特殊清掃の消臭作業とは?手順と注意点を徹底解説で工程ごとに説明しています。
3.リフォームを行うタイミング
臭いが残っている状態でリフォームを行うと、建材に染み込んだ臭いが壁や床の内部に閉じ込められてしまい、後から除去することが難しくなると見ています。
リフォームや原状回復工事は、特殊清掃による完全な消臭が完了したことを確認してから進めます。弊社では、臭いが戻らないかを確かめる経過観察の期間を置いており、この期間を取らずに切り上げた施工が臭い戻りの原因になると考えています。
孤独死の現場は、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。体液が床や建材に染み込んでいる、カビが広がっている、通常の清掃では臭いが取れないといった状態が見られる場合は、ご自身だけで対応できる範囲を超えていないか、作業を始める前に見極める必要があります。