「なんでも買います」にご注意を。不法買取業者の手口と適正な買取価格について
遺品整理や特殊清掃のご依頼をいただく中で、買取のご相談も多く寄せられます。実は、私の自宅にも「ブラウン管テレビを買い取ります」といった訪問買取業者からの電話がかかってきたことがあります。
お見積りの際に「これは買い取ってもらえるのか?」と迷われる方も多いかと思いますが、そういった疑問の背景には、訪問買取業者の存在や情報の不透明さがあるのではないでしょうか。
今回は、不法買取業者の実態と、買取価格の基準についてお話させていただきます。
訪問買取業者からの電話に注意
「着物を買い取ります」「なんでも買い取ります」という電話や訪問は、消費者を保護する法律(訪問販売法等)の網をかいくぐる手口であることが多いです。
たとえば、着物の査定という名目で訪問し、高価な貴金属やブランド品を安値で買い取るというケースが後を絶ちません。実際に価値があるものを「偽物」や「海外製の粗悪品」と判断し、相場よりはるかに安い金額で買い取ることもあります。
実例:24Kの指輪が5,000円?
24K(純金)の指輪(5g)であれば、2025年4月現在の相場では約16,885円/g。単純計算で84,425円になるはずですが、悪質業者は「偽物」と判断し「石だけ買います」と5,000円で持ち去ることも。
このようなケースでは、お客様が気付かないうちに大きな損失を被ってしまいます。
買い取りが難しい品々とは?
買取には法律や市場相場があり、すべての品が対象になるわけではありません。以下は、特に買い取りが難しい代表的な品目です。
電化製品(製造5年以上)
使用年数が5年以上経過したものは、基本的に商品価値がなくなります。冷蔵庫などに臭いが付着している場合は、除去コストがかかるため、さらに価値が下がります。
ノーブランドの家具類
和箪笥や食器棚などは、現代の住宅事情に合わず、再販が難しいため買取対象外となるケースが多いです。
ソファー
傷やカビがあると再販できませんが、ブランド品であれば弊社でカビ除去を行うことで対応可能な場合もあります。
オーディオ機器
メーカーやグレードにより差が激しい分野です。アンプは特に高額で取引される場合も。
食品・酒類
日本酒やワインは買取不可ですが、ウィスキーや中国の白酒など、一部の希少酒には価値があることも。
着物
「着物買い取ります」は悪質業者の常套句。サイズが小さくシミがある着物は需要が少なく、よほどの作家物や保存状態が良くなければ価値は付きません。
刀剣類(未登録)
登録のない刀剣類は売買禁止です。軍刀は価値が低く、登録のないまま売買を行う業者は違法と考えてください。
ワシントン条約違反品
タイマイの剥製や毛皮類、象牙などは取り扱いが厳しく規制されています。売買には資格や許可が必要です。
医療品・医療機器
医療器具や医薬品は資格が必要で、売却は不可。盗品の疑いがあるものも同様です。
耐火金庫
金庫はアスベストが含まれていることが多く、搬出にもコストがかかるため買取対象になりません。
ピアノ(ブランド以外)
重機が必要な搬出コストがかかるため、売却可能なブランドピアノでも環境によっては買取不可となります。
専門性が必要な買取もある
弦楽器や管楽器、古美術品などは、専門的な知識が必要なため、一般のリサイクル業者では適正な査定が困難です。見積もりだけで費用を請求してくる業者もいるため、信頼できる専門業者をご紹介することも可能です。
ちなみに、先日ご依頼いただいたチェロも、依頼者様が驚くほどの高額で取引されました。
特殊清掃現場では売却困難なケースも
特殊清掃現場では、臭気やカビが品物に深く染み込んでしまうため、本来なら売れる物でも買取不可能となる場合が多くあります。表面が凹凸のあるものや柔らかい素材は特に臭気が残りやすくなります。
まとめ
「なんでも買います」というフレーズには裏があることも多く、そこには法律や市場価値を無視した行為が潜んでいることがあります。正しい知識を持ち、適正な査定と買取をしてくれる業者を選ぶことが大切です。
遺品整理や特殊清掃で「売れるかもしれない」と思う品があれば、まずはお気軽にご相談ください。真心を持って、正確なご案内をさせていただきます。