【特殊清掃の実態】不完全な施工と不当請求にご注意を
本日は、昨年11月に弊社で特殊清掃を施工させていただいたお客様から、別の特殊清掃業者に関する請求金額のご相談を受けました。
最初に施工した業者と不動産会社の社員が突然自宅に訪れ、「165,000円」の請求書を手渡してきたそうです、ご相談者は「これは適正なのか」という相談でした?
ご相談の経緯
事の発端は、ある賃貸管理物件での孤独死でした。
ご相談者の弟様がその物件内でお亡くなりになり、地元不動産管理会社を通じて紹介された業者が「消臭」「消毒」「クッションフロアの剥ぎ取り」「オゾン燻蒸」を実施したとのことでした。
しかし現場は腐敗臭が残る惨憺たる状態、オゾン燻蒸だけでは消臭は完了しません。
正しい知識に基づいた初期対応がなされていれば臭気の緩和は可能なはずですが、それすらできていない状況でした。
明らかにずさんな施工内容
問題はそれだけにとどまりません。
体液を拭き取ったと思われるビニール袋が室内に放置されていたのです。
プロの業者であれば絶対に行わない行為です。
体液は玄関から居間にかけて浸潤し、コンクリートスラブや石膏ボード、キッチン下にまで広がっていました。
写真で見る施工の不備
・体液を吸い上げた石膏ボード(可視剤反応あり)
・コンクリート下部にまで及んだ体液
・キッチン下部まで流れ込んだ痕跡
弊社へのご依頼と適正な施工
このような不完全な施工の後、故人様のご兄弟より「大家さんに迷惑をかけたくない」と弊社へ改めてご依頼をいただきました。弊社では3週間にわたり、臭気の再発がないかをチェック。完全な消臭を実現し、ご依頼者の納得と安心を得ることができました。施工費は20万円でした。
特殊清掃における業者の責任とは
施工の内容が不明確で、契約書も存在しない。施工説明も行われていない。これでは、依頼者が何に対して支払いをしているのかすら分かりません。
特に重要なのは以下の点です:
・消臭・消毒の説明と根拠
・切り取り(解体)範囲の正当性
・事前見積・契約書の存在
・施工実績の有無
今回のケースでは、クッションフロアの剥ぎ取りすらも効果的ではなく、かえって原状回復費用が嵩む可能性もあります。説明責任を果たさず、契約書も無い中で施工を行うことは、トラブルの原因に他なりません。
「孤独死ビジネス」への懸念
高齢化社会の進行とともに、こうした不透明な「孤独死ビジネス」に参入する業者が増えています。高齢者やその家族の不安につけ込むような、違法性が疑われる請求が今後も続くのではと危惧しています。
特殊清掃は、見た目だけでは判断できません。消臭・除菌・カビ対策などは目視で確認ができず、依頼者にとっては「本当に処理されたのか?」という疑念が残りがちです。
特殊清掃業者が果たすべき役割
特殊清掃は「臭いを消す」ことが基本です。見えないからこそ、信頼できる施工と説明が求められます。弊社では、契約内容に基づいた責任施工を行い、「臭気除去できない場合は費用は頂かない」という姿勢で取り組んでいます。
依頼者としての自衛策
特殊清掃業者に依頼する際は、以下の点を確認することが大切です:
1.過去の施工実績や対応事例
2.施工内容・工程・工期の説明
3.書面での見積・契約書の取り交わし
4.事前の写真や報告書の提出の有無
こうした確認を怠らないことで、「不完全な消臭」や「不当請求」から自分自身を守ることができます。