今回のご依頼は、賃貸契約の保証人をされている方からのものでした。
故人様はお亡くなりになってから1年以上発見されず、一般的な孤独死とは異なり、体液（水分）が完全に乾燥していました。通常の孤独死現場では、死後1か月程度で強い臭気が発生しますが、長期間発見されなかった場合は体液が蒸発するため、表面的な臭いは比較的薄く感じることがあります。しかし、乾燥した遺体の現場では、体液が室内の資材に深く浸透していることが多く、消臭作業はより困難になります。
今回、新人スタッフも早急な消臭作業が必要だと考えていましたが、実際には体液の乾燥による資材への浸透が問題となり、徹底した消臭作業が求められました。当初、家財搬出を1日、消臭作業を4日間の予定で施工スケジュールを立てましたが、最終的に完全な消臭には8日間を要しました。
もちろん、追加請求は一切行わず、結果として経営的には赤字となりました。しかし、依頼者の方には仕上がりにご満足いただき、「本当に追加料金は不要なのか？」と尋ねられるほどでしたが、丁重にお断りしました。その誠実な対応が評価され、このアパートを管理する管理会社からも新たな施工依頼をいただくことができました。
今回の経験を通じて、長期間発見されなかった孤独死現場の特性を改めて学び、今後の施工計画に生かす貴重な機会となりました。