ゴミ屋敷と物屋敷の違いとは?現場から見る正しい判断と対応
こんにちは。遺品整理・特殊清掃の専門業者として、日々さまざまな現場に立ち会っている私たちですが、多くのお客様から「ゴミ屋敷の見積もりをお願いしたい」とのお問い合わせを頂くことがあります。
しかし、実際に現場を拝見すると、それは「物屋敷」であるケースが多いのです。
今回は、「ゴミ屋敷」と「物屋敷」の違いについて、現場のプロの視点から分かりやすくご説明いたします。
「物屋敷」とは?
「物屋敷」とは、生活に必要な品々やモノが大量にあり、生ゴミや汚損した物が混在していない状態のことを指します。
■典型的な例
・空の段ボール箱が山積み
・衣類や生活用品が多く整理されていない
・未開封の段ボールや購入品が大量に残されている
これらは見た目には「ゴミ屋敷」と感じるかもしれませんが、異臭や汚染がないため比較的処理がしやすい状態です。
段ボールや衣類は資源ゴミとして無料回収が可能な場合が多く、費用も抑えられます。さらに、未開封品や状態の良い衣類などは、買取が可能なこともあります。
「ゴミ屋敷」とは?
一方で、私たちが定義する「ゴミ屋敷」とは、以下のような状態を指します。
■特徴的なゴミ屋敷の状態
・弁当殻や飲み残しのペットボトル、空き缶が散乱
・雑誌や古紙、衣類が床一面に堆積
・ゴミにより家電が見えない状態
・異臭が立ち込め、衛生的に非常に危険な環境
長期間生活の中で踏み固められたゴミは、紙類や衣類、家電コードなどが絡み合い、取り除く作業に非常に手間と時間がかかります。
家屋への影響と違い
物屋敷の場合
・カーペットや畳にカビや変色がある程度
・異臭は少なく、通常の清掃・整理で対応可能
ゴミ屋敷の場合
・床下まで飲料や生ゴミの液体が染み込み腐食
・フローリングや根太が劣化・腐敗
・トイレ・浴室にカビや悪臭が充満
・壁紙(クロス)にも臭いが染み付き、石膏ボードまで劣化
ゴミが積もっている間は臭気が密閉されていますが、撤去が進むにつれて悪臭が広がるという特有の現象があります。
費用の違いについて
物屋敷の場合
・一般的な遺品整理、生前整理と同等
・買取ができる物が多ければ、実質的に費用が安くなることも
ゴミ屋敷の場合
・作業量、分別、臭気処理などが増えるため、費用は高額になる傾向
・分別(空き缶・瓶など)に時間を要する
・小銭や現金が床下から出てくるケースも(※過去には80万円の現金が見つかった事例も)
また、撤去後に必要な「特殊清掃」や「現状回復清掃」も、臭気源が複数あるほど時間と費用がかかります。
ゴミ屋敷の特殊清掃について
ゴミ屋敷の特殊清掃は、孤独死現場に匹敵するほど高度な作業を要します。
・臭気の特定と除去
・壁・床下に浸透した液体や臭いの除去
・清掃だけでは対応できない部分は補修・工事が必要
弊社では、「元に戻す」ことができなくても、費用を最小限に抑える「現状回復」に注力した施工を行っています。
適切な見積もりのために
「物屋敷なのか」「ゴミ屋敷なのか」は、見た目だけで判断できるものではありません。
見積もり依頼の際には、「モノが多い状態」と伝えていただくことで、適正な費用でのご案内が可能になる場合があります。
不要な「ゴミ屋敷認定」による高額請求を避けるためにも、ご自身で判断せず、まずは専門業者に現地確認を依頼することをおすすめします。
まとめ
項目 |
物屋敷 | ゴミ屋敷 |
主な中身 | 衣類・生活用品・段ボールなど | 生ゴミ・飲み残し・雑誌など |
異臭 | ほぼなし | 強い悪臭が充満 |
作業内容 | 分別小・整理中心 | 分別多・除去困難 |
清掃の必要性 | 通常清掃で対応可 | 特殊清掃が必要 |
費用の目安 | 比較的安価 | 高額になることが多い |
買取の可能性 | 高い(未使用品・衣類など) | 低い(汚損が多いため) |
不要なトラブルや費用を避けるためにも、「正しく判断し、適切な対応をとること」が大切です。
ゴミ屋敷・物屋敷、どちらかわからない場合でも、まずはご相談ください。現地確認のうえで、最も適切でご納得いただけるご提案をいたします。