今回は、県外にお住まいの娘様からのご依頼で、福山市で特殊清掃を行わせていただきました。
ご依頼の背景には、死後約20日が経過した状態でのご遺体発見という現場がありました。
また、現場にはペットの中型犬がいたとの情報もあり、私たちもその安否が非常に気がかりでした。
見積もりに伺った際、幸いにも中型犬は無事で、現場に駆けつけた私たちも胸をなでおろしました。
当日の気温や湿度が比較的低かったため、腐敗臭は思ったほど強くはなく、現場の状態は落ち着いていました。
ただし、依頼者様には「現在は臭気が軽度でも、今後気温や湿度が上昇することで臭いが強くなる可能性がある」ことを丁寧にご説明し、その日は見積もりのみで帰社いたしました。
その後、実際に気温の上昇とともに臭気も増してきたとのご連絡をいただき、正式にご依頼をいただいて施工を行うこととなりました。
なお、今回の建物は将来的に解体のご予定があるとのことで、建物保存を目的とした清掃ではなく、近隣への臭気対策としての「緩和消臭」を中心に施工を実施いたしました。
故人様のご冥福をお祈りしながら、予定通りの工程で作業を終えることができ、依頼者様にもご安心いただけました。
作業を終えた後、私たちの心に強く残ったのは、あの中型犬のことでした。
本来は穏やかな性格の子だったそうですが、主の死と長引く飢餓、そして突然現れた警察官や私たち特殊清掃業者に怯え、情緒不安定になっていた様子でした。
その姿は、「飼い主の死を受け入れられない心の葛藤」を表しているようにも感じられ、私たちにとっても非常に心に残る現場となりました。
孤独死は、故人やご遺族、近隣住民だけでなく、共に暮らすペットにとっても大きな悲しみやストレスを与える出来事です。
この日改めて、命の重さや現場に向き合う責任の大きさを深く実感しました。