遺品整理あぐり

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コラム

特殊清掃の現場から見える“ニセ消臭”の実態

~不完全な消臭と業者乱立の危うさ~

特殊清掃や遺品整理の業界は、年々その認知度が高まり、今や“儲かる”という印象だけが独り歩きしてしまっている現状があります。2024年12月現在、遺品整理士の登録数は6万人を突破したとの情報が、遺品整理士認定協会から届きました。

しかし、実際には多くの業者が市場に参入しては撤退し、その中で新たな収益源として“特殊清掃”に手を伸ばすケースが増えていると実感しています。

 

呉市での実話:1年以上放置された孤独死物件

先日、広島県呉市の共同住宅を管理されている方と立ち話をする機会がありました。呉市でも少子高齢化が進み、孤独死が絶えない状況にあるとのこと。

その中で特に印象的だったのが、「特殊清掃は行ったものの、臭いが全く取れず、1年以上手がつけられないままの部屋がある」というお話でした。しかも、消臭に関しては“民間資格を持つ業者”を選定したにも関わらず、効果が見られないというのです。

 

民間資格だけでは消臭はできない

現在、特殊清掃や消臭に関する民間資格は数多く存在しています。受講すればほぼ100%に近い合格率と言われるものも少なくありません。中には実地講習を行っている団体もありますが、特殊清掃という業務は現場によってまったく状況が異なります。

 ・故人様の体重

 ・発見までの日数

 ・季節・湿度・家の方角

 ・死亡された場所(トイレ、浴室など)

…これらによって施工方法がすべて変わってくるため、完全マニュアル化が不可能な業種なのです。

つまり、資格だけでは「実際の消臭力」には直結しません。

 

他業種の“なんちゃって特殊清掃”が増加中

最近では、リサイクル業者や解体業者、不用品回収業者などが兼業で特殊清掃に参入しています。しかし、多くは自社で施工できず、外注に任せているのが実情です。

その結果…

 ・臭いが取れない

 ・想定外の追加費用が発生

 ・「放置」される

 ・料金だけ取られる悪質業者も存在

といったトラブルが多数発生しています。

 

施工例:ニセ消臭の現場写真から見えること

過去の悪質な施工の一例では、表面上の体液だけを拭き取り、フローリングの一部だけを解体して終わらせているケースがありました。しかし、実際には体液が床下の根太・大引き・モルタルにまで浸潤しており、臭気はまったく除去できていない状態でした。

また、経験の浅い業者では「遺品整理」と同じ手法で家財を運び出しますが、消臭を目的とした搬出では拡散防止のための加工が必要です。これを怠ることで、さらなる臭気被害が広がる危険性もあります。

 

特殊清掃は“答え”ではなく“応用力”が求められる

私の元にも、他業種の方から「特殊清掃を教えてほしい」という声が届きます。もちろん、本気で学びたいという方には指導も検討しますが、問題は**「答えだけを知りたがる」人が多い**こと。

特殊清掃は一つとして同じ現場はありません。形が違えば施工方法も違う。それを理解しない業者に消臭はできません。

 

不完全な消臭を防ぐために確認すべき6つのポイント

1,外注施工かどうかを確認

 ⇒施工力がない業者は外部任せで責任を持ちません。

2, 見積もりが目視のみで行われていないか

 ⇒臭気源の深部まで確認せずに正確な見積もりは不可能です。

3,「1日~3日で終わります」という短期間施工

 ⇒中~重度の消臭には期間が必要。簡単な作業では済みません。

4,オゾン燻蒸1回◯円など、単品メニュー制

 ⇒パッケージ化された内容では消臭の質が担保されません。

5,「完全消臭保証」が書面で明記されているか

 ⇒施工の責任と精度への自信が問われます

6,追加料金が発生しないことを明記しているか

 ⇒後から請求される不安がない、安心できる業者かどうか。

 

最後に:本当に安心できる業者を選ぶために

やり直し施工が必要になったとしても、最初の施工が不完全であれば、何度やっても臭いは消えません。

そして、一部の業者はそもそも完全消臭を提供できない可能性もあるのです。

特殊清掃という仕事は、命に関わる現場に立ち会う大切な業務です。だからこそ、施工力・誠実さ・知識が本当にある業者を選んでいただきたいと思います。

もしご不安やご質問があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。現場に即した最善のご提案をお約束いたします。

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